私がパターン設計に携わり始めた頃は、業界的にも未だ手書きが多かったと思います。
現在のようにCADではなく、紙と鉛筆と定規。
当時在籍していた社内設計でも4層がたまにあるくらい。
新人の私は片面か両面、4層板を手掛けたのは2、3年目以降だったと思います。
私の配属されたチームでは電源やアナログ系の案件が多かった為、
ドラフターを使わせてもらえたのは3~4年してからでした。
当時パターン設計は1枚の紙に表裏を赤、青の色芯で、基本的に2倍で描く。
チップ部品もまだ少なかったので基本格子はインチグリッド。
紙はセクションフィルムと呼ばれるインチグリッドが描かれたフィルム状のもの。
鉛筆で書けるのですが、何度も消したり描いたりしていると、鉛筆が載らなくなり困ったものでした。
セクションフィルムはピン1以下なら4分割、ピン2なら5分割、ピン3なら8分割、
といったように、スペックによって最初から紙の選定をしなければならなかった。
0.635、0.508、0.3175、0.254、0.15875、0.127、0.1016 というように
よく使用するインチの値はこの頃から染みついてしまいました。
定規は通常の板状のものは当然ですが、コンパス、三角定規、学生時代に使ったものが
また仕事でも活躍。その他、円定規と呼ばれる大きさが様々な丸穴が開いた定規、
5.08mmピッチで円や四角が並んだテンプレート、部品のシルク形状や英数字がきれいに書ける
テンプレート、全盛期には10枚くらい持ってました。当然、字消し板も必須でした。
設計は紙へ描いていくので、レイアウトはほぼ一発で決めていかないとなりません。
外形を描いた後は青焼きにて全体の構想を下書きのように描いてレイアウトや配線のルートを練ったものです。
設計にはいろいろな苦労もありましたが、そのお話は省略。
さて、紙にて仕上がった配線図をこの後、どのように基板のもとになるフィルムにするかです。
私の当時では大きく分けると二通り。コンピューターへのデータ化、もう一つは版下化。
一般的にはデジタル品はデータ化、電源系やアナログ系は版下というような具合でした。
前者はデジタイズと呼ばれる作業でデータ化するのですが、簡単に言えば紙に書いた線の
構成点すべての座標をコンピュータへ入力して整えてデータ化するもので、
出来たらプロッターにて紙に作画します。これも基本は2倍。
こうして印刷されたものを正しくデータ化できたかどうかの確認のために検図作業。
回路図の配線と印刷された配線図を1本1本照らし合わせで追いかけるのです。
ほとんどが人の目視確認の為、ミスも結構ありました。
一方、版下とは製造用フィルムの現本となるものを様々な専用テープを使用して直接作り上げるものです。
挿入部品が基本ですので、穴位置が基準となります。
そこでランドマスターと呼ばれる部品穴のランドだけのマスターフィルムをつくる。
設計にて描いた配線図の上にまっさらなフィルムシートを重ね、
サーキットテープと呼ばれる細いテープで外形を作る(張り込む)。
その後、配線図に合うランドの大きさランドを張り込む。何と呼ばれていたか忘れましたが
ランド形状だけが張り込めるテープがありました。この張り込みがずれていると全てがずれてしまう。
ここまでが完成したらフィルムのコピーを作成する。パターン用とレジスト用である。
両面なら4枚必要でした。
これをもとに配線図に従ってテープを張る。レジストもFG等特殊ば逃げの箇所へはそれなりのテープを張る。
シルクもシルク表記のマークがシールのようにあり、それと文字のシール。これにてシルク用の版下を作成する。
どちらも簡単な説明になってしまいましたが、各々の苦労はたくさんあり、簡単ではないのです。
どの工程も時間はかかるし、目視確認が多いので間違いや、やり直しが多々ありました。
今では間違いは少なくなり、何より時間短縮はすごいものです。
市場でも電気製品の新機種がどんどん新しくなるわけです。
今後もいろいろな形で進化していくことでしょう。
以前のパターン設計
2019.04.09 | CATEGORY: その他