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3DCADデータ変換時のトラブルについて その1

2019.03.01 | CATEGORY: 機構設計

こんにちは。
機構設計課のDです。

機構設計業務において、近年では3D設計が定着し3Dモデルを活用したものづくりも広く行われるようになっています。一方で、使用する3DCADが異なる場合に無視できない弊害も発生しています。異なるCAD間での3Dモデル授受時、データ交換時、サーフェスのつなぎ目が剥がれたり、サーフェスが抜け落ちたり、形状が成立しない箇所が出てきます。壊れたデータを修正するのに丸一日かかることも珍しくありません。

問題の原因は主にCADメーカーごとのカーネルの違いにあります。
具体的には下記3項目が不具合の要因となります。
・モデリング精度(トレランス)の違い
・位相(幾何形状表現)の違い
・数学的表現の違い

今回はモデリング精度の違いについて少し触れていこうと思います。

モデリング精度とは、モデリングトレランス(許容差)のことです。
一般にモデリングトレランスの値は、距離は0.001mmから0.01mm、角度は0.5°程度になっています。
(これは3Dモデル形状の寸法誤差のことではありません。近年の3DCADの形状寸法誤差は10-8mmかそれ以下です。)
3DCADでは、球体や円柱など、複雑な形状が作られます。しかし、このような形状は正確に数値で表すことができません。円周率や様々な関数などの、割り切れない数値が存在するからです。割り切れない数値が出た場合、どこかで妥協しなければなりません。すると、少なからず「誤差」が生まれることが分かると思います。この誤差をどこまで許すかが、「モデリング精度」です。

異なるCAD間でデータ授受を行う場合、各CADのモデリング精度のデフォルト値がまちまちであると、データを受け取ったCADで、形状が成立出来ずモデル表現ができなくなるという問題が発生します。

 

主な3DCADのデフォルトモデルリング精度

 3DCAD名 相対精度/絶対精度 精度
 CATIA V4  絶対精度  0.1
 CATIA V5  絶対精度  0.001
 Creo  相対精度(絶対精度に変更可能 推奨値 0.01)  0.0012
 Solidworks  絶対精度(隙間などが生じた際に精度を緩めるトレラントモデリング)  0.00001
 NX  絶対精度  0.0254
 I-DEAS  絶対精度  0.01

 

この問題を回避する方法が、モデリング精度を合わせることです。モデリング精度を合わせることで、形状エラーを最小限にすることが可能となります。
但し、モデル作成後のモデリング精度変更は、避けた方が良いです。精度変更により形状が成立しない部分が出てくる可能性があります。

もちろん、モデリング精度を合わせれば、絶対エラーが起こらないかと言えばそうではありません。
続きは次回以降に。